障がいのある子どもが地域の中で暮らす意義?

投稿者: | 2022年10月21日

 今日の障害福祉制度は、入所施設ではなく通所支援施設が大半となっています。例えば、都市部では、入所支援を行う施設が慢性的に不足している状態になっています。地域で暮らす流れの中で、障害福祉制度が大きく変化して、今日に至ります。特別支援学校が終わったら、全員が施設に入所できるわけではありません。地域で暮らし続けるためには、家庭が日常生活をどのように考えていくのかが、大切なような気がします。

 特別支援学校等に通っている時は、成人以降の生活を前提として、障害状況や発達課題を考慮しながら教育が行われます。しかし、個々の障害状況、成長度合い、生活環境(家庭、地域など)との兼ね合いから、全ての発達課題が解決するわけではありません。成長という変化をしながら、子どもから大人として、歳を重ねて、年齢的には、おじさんになったり、おばさんになったして、人生を積み重ねていきます。

 18歳で特別支援学校を卒業すると学年がありません。つまり、これは日常生活の中で、どのような生活活動を軸にしながら、日常生活を送る必要性があることを意味します。18歳以前の場合は、大人になるまでに何とか、成長を引き上げたいと未来を見上げ、いろいろと試行錯誤している家庭があるのではないでしょうか。ところが、大人の入口が、近くなると、諦めの気持ちになるような家庭も少なくありません。

 我が子の成長は、18歳までて打ち止めではなくて、その先にも続く道があります。家庭にとっては、負担感を抱かれるかもしれませんが、日々の日常生活において、家庭生活の中で、大人になった我が子が担う役割とは何でしょうか。また、本人にとって、家族以外の他者との接点は、どのような人々でしょうか。地域で生活するということは、家庭場面以外の場所で、他者と交わることも直接、間接的にあるということが大切だと思います。例えば、就学前から児童期にかけて言えば、小さい頃から、地域社会との接点を持たせることが考えられます。買い物に行く時に、敢えて連れて行く。でも、親からすると、精神的余裕がない時期に重なり、案外、家庭では取り組まないケースが多いと思います。むしろ、児童デイサービスなどに通わせますので、家庭が自ら取り組むことが、実際には少なくてすむかもしれません。

 ここで、言いたいことは、子ども時代も成人後も、家庭を中心とした生活の流れの中で、日常が流れていきます。子ども達が経験をして身につけたこと、日常で行えるためには、日常生活の流れで学ぶことをしないと定着が難しいのです。地域で生活するというのは、特別なことではありません。しかしながら、家庭からすれば、世間に迷惑をかけてはいけないと考えるのかもしれません。

 ここで触れた、迷惑とはなんでしょうか。外出先で、大声をあげてパニックになることでしょうか?。それとも、周囲の注目を向けられるような違和感のある行動をすることでしょうか?。障がいのある我が子が、そもそも地域社会に出て行くことなのでしょうか?。

 今日ある教育制度と障害福祉制度を見ると、明らかに暮らし慣れた地域で持続して生活をすることを想定した体系になっています。むしろ、それを一層強化していく方向に進みます。そうなると、家庭の果たす役割が重要になっていきます。我が子は、自律・自立するためだけに生きているのではなく、生きるために生きていくからです。家庭を中心として地域の中で、我が子の存在を認知してもらえていることは、自律の一歩であると思います。街の中に、子どもを連れ出してみませんか?。経験を与えながら、地域に出ていく楽しさを味わせることが、地域で生活をしたいと本人の気持ちと行動が育っていくものなのです。