将来、子どもを育てる仕事を目指す学生たちに、講義をしていると、自分自身の問題と重なる話があるかなという内容があります。子どもが親からの愛情が足りないとか、親から愛情を感じられなかったという生活問題とか。だから、学生たちは、親からの愛情問題にすごく関心を持っていることが多いです。
保護者自身、いろいろな生活問題を背負って、これまでの人生を、生きてきて、いざ我が子との子育てを突きつけられると、逃げ出したくなる。それもわかります。やったことのないことを、これまでの人生経験を参考に取り組むしかないわけですから、そりゃ、わからない。
でも、子育てとは何かとはわからないままに、親になるのが大半ですから、自分が人生経験からの創意工夫で乗り切るしかないのですが、わからない。例えば、命が大切なことも、命が尊いことも、大人や家庭に求めらる責任の実際など、子育てを始めてから実感をするものばかりです。
子どもの成長にとって、目に見える容姿の変化はわかりやすい変化です。でも、子どもの心や情緒面は、なかなか察知しにくいです。親に限った話ではなくて、子ども自身も悩ましい違和感を感じなら生活しているケースが少なくないのです。
様々な保護者と接していると、なかなか子どもの気持ちを受け止めることは、言葉ではたやすいのですが、我が子に伝わるように考えないと子どもは満足しないのです。子どもがいるから親なんですけど、親としての役割は、子どもがいて体験できることです。たまたま、出会った我が子との一度しかない人生ですから、子育ては、親としての役割や人として生きる意味や機会を与えてくれる営みの一つなんだろうと思います。